復旧進むカンボジアの鉄道、プノンペンと空港をつなぐ列車が運行開始
1970年代の内戦時代に、鉄道インフラがことごとく破壊されたカンボジア。ところがここに来て、徐々にではありますが鉄道路線網が復活しつつあり、近い将来には首都・プノンペンとタイ・バンコクとを結ぶ国際列車が運行を始める可能性もあるとのこと。またそれに先駆けて、プノンペン市街と空港を結ぶ路線が今春4月に運行を開始し、市内の渋滞緩和や更なる経済活性化の契機にと、大いに期待されているようです。
プノンペン市内~プノンペン国際空港間の列車運行を開始!
これまでカンボジア・プノンペン国際空港からプノンペン市内への移動には、タクシーかトゥクトゥク、市営バスが主な交通手段となっていましたが、2018年4月10日から、プノンペン市内とプノンペン国際空港を結ぶ列車サービスが運行を開始しました。
列車はプノンペン市内モニボン通りにあるプノンペン・ロイヤル駅から発着しています。早朝5時から深夜3時まで、40~45分間隔での運行になっています。所要時間は約45分で、各車両の収容人数は約100人。ただ、現在使用している車両は仮のものになるそうで、6月にはメキシコ製の新車両が到着することになっています。
列車を運行するロイヤル鉄道によると、車両にはトイレ、Wi-Fi、エアコンが完備さており、7月31日までは無料で運行するとのこと。ただし、その後の価格については現段階では発表されていないので、8月からの利用を検討している人は、事前に問い合わせすることを忘れずに。
ちなみに国際線ターミナルの出口にはタクシーとトゥクトゥクのチケット売り場があり、市内まで一律料金で利用できます。タクシーは12ドル、トゥクトゥクは9ドルで、いずれも所要時間は15~25分ですが、渋滞時はさらに時間がかかることになります。
2016年12月に復活したカンボジアロイヤル鉄道
もともとカンボジアの鉄道は1960年代に運行を始めていましたが、70年代にポルポト政権時代の内戦によってそのほとんどが破壊されてしまいました。その後内戦凍結を受けて、アジア開発銀行やオーストラリア政府が中心となって支援し、線路や車体を修復、復旧することになったのです。ちなみに旅客列車に関しては2016年、実に14年ぶりに運行を再開することができたのです。
現在は、プノンペンからシアヌークビルまでの南線が、週末を中心に定期運行しています。また、プノンペンからポイペトへの北線が2018年中の開通を目指しています。これが実現すると、タイ・バンコク~カンボジア・プノンペン間が鉄路で繋がることに。タイ~カンボジア間を国際列車で旅行できる日が来るのを、楽しみに待っている人も少なくないかもしれません。
カンボジアは車が交通手段の中心になっているため、とにかく道路渋滞がひどく、移動の際はなかなか時間が読めずに苦労してしまうことがあります。鉄道再開をきっかけに、今後は通勤なども視野に入れた幅広く利用出来るネットワークを構築することで、渋滞の解消だけでなく、市民生活や経済が活性されていくことを期待したいですね。
※運行スケジュールや料金などは変わることがありますので、カンボジアロイヤル鉄道もしくは現地旅行代理店などへ事前に問い合わせを。
写真提供/西村清志郎